テクニックのなかで育む、和声感
テクニックは『体の使い方』のこと、という内容をこちらのコラムでご紹介しました。
そのテクニックに付随して、もう一つ大切なことが、この100日リレー方式の中には組み込まれています。
それは、和声感です。
和声感は、スケールやアルペッジョで養われるのではないです。
スケールやアルペッジョをたくさんやっても、仮に全調をやっても、和声感を身につけるには、道のりはほど遠いと思っています。
では、どうしたらよいのでしょう?
それには、ハーモニーを使うのが効果的です。
100日リレー・レッスン法では、トニック(主調)から近親調を経て、半音ずつ変調していきます。
最初の練習(Day 2、Execise No.2)で出てきたように、メジャー、マイナー、そのまま第5音を半音上げて、上行します。
ここでやっていることは、例えばCから始める場合、Cメジャーからマイナー(C, E♭, G)を経て、第5音を半音上げる(A♭)ことによって、Cの半音上にあたる音(D♭)をトニックにもつ、ドミナント(V)を作り出しているのです。
これによって、ドミナント(V)→トニック(I)という流れを使って、半音ずつスムーズに移行していくことができるようになります。
これをくり返して、オクターブ分の練習が組み込まれるのです。
結果として、全調のドミナント、トニック(メジャー・マイナー)をカバーすることになります。
この変調モジュールは、以後さまざまにスタイルを変えて、登場してきます。
左手にベース音が加わったり、ドミナントに7thが加わったりして、練習内容としても、曲のようにして弾けるものへと発展していきます。
これをくり返し続けていくと、変調モジュールを通じて体の感覚から『テクニック=体の使い方』を養いながら、耳からはハーモニーの移り変わりをたくさん聞き、音の移り変わりを感じながら、和声感を自然と身につけることにつながります。
ここに、のちにセオリーとして楽典知識が入ったとき、音楽感覚がひと回り、ふた回りと大きくなっていくことになります。
ぜひ、音の響きにも気持ちを向けながら、取り組んでみてください。
0コメント