テクニックを養うということ
テクニックという言葉を、私はよく『体の使い方』と言い換えて使っています。
なぜテクニックが『体の使い方』なのでしょうか?
100日リレー・レッスン法では、スケールとアルペッジョを中心に練習が進みます。
4オクターブの両手オクターブ平行奏から始まり、右手が上行形・左手が下降形で始まる反行奏、右手と左手で違う音から始める転回平行奏、アルペッジョではドミナント平行奏、ディミニッシュ平行奏、ディミニッシュ反行奏など、その種類は非常に豊富にあります。
これらは、とてもゆっくりなテンポ(時には「1と2と3と4と」のように数えながら)で、片手ずつから練習します。
徐々にスピードを上げ、ゆっくりな両手奏をはさんで、段階的にスピードを上げ、最終的には4オクターブを両手で、ある程度の速さで弾けるようにします。
弾けないときには、何度でも、かならずゆっくりなスピードに戻って練習します。
これを進めていくと、ある地点から、指運びを腕や体が自然と助けるようになります。無理なく弾ける体づくりが始まるのです。
この頃になると、ゆっくりなときは目で追っていた鍵盤の位置を、スピードを上げるにつれて、指の開き具合、腕の使い方、腕の開き具合、体の傾け具合といった体の感覚から、徐々にわかるようになっていきます。
また、4オクターブという低音から高音までを万遍なく使うことで、左右に幅広く視野をつかむトレーニングになります。
これを、全調のスケール、アルペッジョ、転回平行奏、反行奏で行うことによって、体の感覚を養うのです。
この導入は、すでにDay 5のExercise No.7から始まっています。Day 7になると、この練習はオクターブ上、オクターブ下までの跳躍練習になります。
アーム・タッチの延長にあるこの練習は、体の感覚を養い始める、最初の一歩なのです。
のちに出てきますが、音を外せずに弾けるかどうかは、テクニックのあるなしとは関係ありません。
指がはやく動くかどうかも、それ自体がテクニックではないのです。
すべては体の使い方に連動しています。
体の感覚を養い、その感覚をもとに体の使い方を自分でコントロールできること、これがテクニックだと言えます。
この100日リレー・レッスン法では、順を追ってその体の感覚をつかんでいけるよう、工夫されています。
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