体を温めると、いい音が出せる

皆さんは、ピアノを弾く前にどんなことをしていますか?

楽譜をよく見る? 椅子の高さを調節する?

それも大切なことですが、私はピアノを弾く前に、必ず『ストレッチ』をします。

肩から背中、腕、脇、手首から指の一本ずつまで、順に筋を伸ばします。

下半身も、腿裏を伸ばし、足首までよく回します。

それこそ、これからジョギングでも行くのかというくらいの、準備運動です。

10代の頃からやっていますが、年齢を重ねて、さらに入念に行うようになりました。


冬場に手がかじかんで、指が動かなくなることは、誰しも経験があるでしょう。

夏場にも、汗をかいて風に当たって体が冷えたり、冷房に当たりすぎたりすると、体が動かなくなることがあります。

私はもともと冷え性持ちでしたので、年中体が硬くなっていました。

パソコンでの作業が増えてくると、1日何時間も同じ姿勢で集中するため、それで体を壊したほどです。

冷え性をなおし、数年かけて筋肉をほぐす治療をして、日常的にも体を動かすよう努めた時期もあります。


体を冷やすと、体の熱を逃がさないように筋肉がかたまって、必要以上に体に力が入ります。

すると、ピアノを弾くのに大切な『脱力』ができなくなります。

脱力するには、筋肉を動かして、体を温めるとよいのです。

筋肉がやわらかく動くと、体の動きがスムーズになります。

すると、練習がとても効果的に進みます。


もちろん、脱力ができていくと、力みがなくなり、硬さのない、よく響く深い音が出せるようになります。

ピアノを弾く準備として、ストレッチのように体を整えるワンステップを加えて、効果的な練習を続けたいものです。

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